またである。
我が家のベランダには、野鳥のお客様が度々遊びにやってくる。
引っ越す先々で、新しい出会いがあり、それはそれで楽しいのだけれど厄介なのは番いの鳩である。
彼らは、一旦、目を付けた場所は何としてでも手に入れようとするガッツを持ち合わせており、人間が近づいても怯まない。
先日も、一羽の鳩がベランダの塀を歩き中の様子を伺っていた。
こちらも怯んではいけないと意を決し、勢いよく窓を開けると驚きはしなかったけれど、バサッと羽を広げて飛んでいった。
それを3回ほど繰り返した後だっただろうか、私がなめられてしまったのか、今度は番いでやってきて引っ越し先の新居を内見するかのような素振りを見せた。
思わず、鳩たちの会話が漏れ聞こえそうなシチュエーションに笑ってしまいそうになったのだけれど、ここは私も譲るわけにはいかないのである。
面倒だなと思いつつ、今度は窓を開けるだけでなくベランダに飛び出した。
根負けしたら最後、我が家のベランダが人手ならぬ鳩手に渡ってしまうため、早めに手を打たねばと脳内に忍ばせてある鳩対策をパラパラと捲った。
その中に一つだけ、未だ試したことがない、知人から入手したマニアックな方法があった。
それは、鳩が降り立っていた塀部分にコロンか香水を吹きかけておくというものである。
ホームセンターなどには、鳩が嫌がる匂いスプレーというものがある。
過去に幾度か試したことがあるのだけれど、あまり満足できる結果に至らなかったこともあり試していなかったのだけれど、「鳩専用よりも人専用のものの方が効く」という知人の言葉が脳裏を過った。
ご近所迷惑にならないだろうかという心配があったけれど、風向きが完全に自宅側に向いていたこともあり、すぐに香りが飛ぶコロンで試してみることにした。
できるだけ塀に密着するように近づけてシュッと、間隔をあけながら数か所に吹き付けた。
しばらく経ち、既に飛んでしまった無臭のベランダを眺めながら効果はあったのだろうかと思っていると、
近くまでは飛んでくるのだけれど塀には近づくことができずにいる番いの鳩を確認することができた。
思わず、ガッツポーズである。
これでしばらくの間、我が家のベランダは安泰である……と思いたい。
コロンの香りは既に飛びきってしまっていたけれど、人専用のコロンや香水の香りは野生動物にとって、とても強烈なようだ。
鳩と手持ちの香りとの相性や風向き、ご近所への影響を考慮しなくてはいけないけれど、鳩除けの初期対策のひとつになる場合もあるように思う。
生きるために向けられる迷いなき眼は、全力で生きるものの眼をしており、いつも圧倒されてしまう。
そのようなことを感じた日。
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