不意にピーマンの肉詰めを食べたくなった。
「不意に」なんて思っているけれど、私の場合は、どこかしらでピーマンの肉詰めを見たに違いない。
何処で見たのだろうか、何処で耳にしたのだろうか……記憶を手繰り寄せても出てこない。
今回は純粋に「食べたい」と思ったのだと思いかけた瞬間に、目に飛び込んできた定食屋の看板には、「ピーマンの肉詰め定食」のタイトルと共に、可愛らしいピーマンの絵が添えられていた。
キッカケは間違いなくこれである。
人の脳は勝手に様々なことを記憶しているけれど、時折、この情報は不要だと判断するのか、こうして不意に投げ返してくるのである。
ピーマンと言えば、種が付いたワタ部分を捨ててしまうことが多いけれど、実はあのワタ部分には栄養がぎゅーっと詰まっているのだ。
特にピーマン特有の栄養成分でもあるピラジンは、皮部分の10倍以上も含まれているため、ワタごといただきたいところである。
ピラジンは、血液をサラサラにする効果が期待できるそうで、脳梗塞や心筋梗塞などの予防に働いてくれると言われている。
更に、辛くはないけれど唐辛子に似た働きをする成分も含まれていることから、血の巡りをスムースにして発汗を促すため、アンチエイジングやダイエット、冷え性の緩和にも良いとも言われている。
他にも、体内に取り込んでしまった余分な塩分を排出してくれるカリウムも豊富なので、浮腫みを緩和させたり、血圧のバランスを取ったりと、なかなか心強い栄養成分の宝庫である。
唐辛子のイメージで「ピーマンのワタと種は取り除かなくてはいけない」と思い込んでいることがあるのだけれど、ワタ部分には辛味成分や苦み成分は含まれていないので、火を通すメニューであれば、積極的に種付きのワタ部分もいただくと良いのだ。
例えば、ヘタだけを取り除き、種が付いたままのワタごとピーマンをみじん切りにしてチャーハンなど使ったり、ピーマンの肉詰めを作る際にも、ワタを取り除かずにお肉を詰めるのも手。
ピーマンの肉詰めの場合、このワタ部分を残したままお肉をグイグイと詰めると、このワタ部分がお肉とピーマンをギュッと繋ぐ役割を果たしてくれるため、詰めたお肉がボロッと剥がれ出ることがなく、見栄えの良いピーマンの肉詰めができるのである。
お味に関しても、種とワタ部分に特徴的な味や食感はなく、全てはお肉に包み込まれてしまうため、ピーマンの栄養を丸ごと摂りたいときにおすすめだ。
誰に教えていただいた方法だったか思い出せないのだけれど、私はピーマンの肉詰めを作るときには「ワタ付きピーマンで!」と決めている。
ピーマンを召し上がる機会がありました折には、今回の何かしらをチラリと思い出して楽しくお試しいただけましたら幸いです。
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