朝から蜘蛛を見つけてしまった。
日本には朝蜘蛛は殺すなという言葉があるように、蜘蛛は神様の使いで家を守ってくれている益虫だと言われている。
諸外国にも蜘蛛は知恵や成功に繋がるシンボルとしての言い伝えがあったり、体の模様や動きから幸せや自由のシンボルとして扱われることもある。
もちろん、このように良い印象を抱いているところもあれば、忌み嫌っているところもあるけれど、蜘蛛の立場からすれば、全ては人間の戯言にすぎないのだろうと思ったりもする。
ただ、そう知ってはいても苦手なものは苦手なのである。
私は蜘蛛を見失わぬよう目を光らせながら素早く身近にあった雑誌を手に取り、どうにかして窓の方へと誘導し、自然界へお帰りいただく計画を立てた。
蜘蛛よりも少しだけ先回りをして窓を開け、室内よりも心地よい風が吹いている場所があることをアピールすると、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、窓へと近づいていく。
その様子にほっとしていると、もう少しで外、というところまできてピタリと動きを止めてしまった。
やはり、油断大敵かと、細心の注意を払って蜘蛛の周りを雑誌でガードし、道はこの一本だけだと無言で伝えると窓枠の凹凸を器用に渡りきり、外へと出て行った。
蜘蛛を誘導した気になっているだけで特段何をしたわけでもないのだけれど、その日は、無駄にグッタリとしたところから始まった。
そう言えば、何かの本で蜘蛛はコーヒーを飲むと酔っ払ってしまうという話を目にしたことがある。
蜘蛛がコーヒーを口にするシチュエーションなど、そう簡単にあるわけがないと突っ込みつつ読み進めたところ、アメリカの研究者の方(だったと記憶しているのだけれど)が、偶然にもコーヒーを蜘蛛に与えるようなシチュエーションに遭われたのだとか。
そして、コーヒーを口にしてしまった蜘蛛はその後、普段のような蜘蛛の巣を作ることができなかったというのだ。
蜘蛛は水分があると飲んでしまう習性があるのだとか。
だから、この習性を利用して何を飲むと蜘蛛の巣を作ることができなくなるのか、いくつかの飲み物を与えて実験を行ったところ、コーヒーを飲んだときにだけ蜘蛛の巣を作らなくなってしまったという。
この研究結果から、蜘蛛はコーヒーに含まれているカフェインによって神経が麻痺し、思うように蜘蛛の巣を作ることができなくなるということが分かったそうだ。
コーヒーに限らずカフェインを含む飲み物には人をリラックスさせる力があるけれど、摂取量や摂取する時間帯によっては、眠気や寝つきに影響が出ることもある飲み物である。
カフェインを一定期間絶ってみたり、午前中のみ口にするといった具合に調整すると深く眠れるようになるという話も多く見聞きするため、カフェインを含んでいる飲み物が好きで寝つきが良くない方は、自分の体質に合った摂取量やタイミングを見つけてみても良いように思う。
そのようなことを思い出したり思ったりしつつ、朝のグッタリ感をカフェイン入りの飲み物で癒した日。
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