幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

夏の訪れを知らせる蓮と心豊かな暮らし。

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スタイリッシュな墨色をした鉢から伸びた細い茎の先には、顔を覆ってしまえるくらい大きな葉と、濃い桃色をした蓮(ハス)の花があった。

蓮(ハス)は、夏の訪れと共に咲き始める花である。

その多くは、池の中から茎を伸ばして花を咲かせることで知られているけれど、大きな鉢を池に見立てて自宅で育てている方も、思いのほか多くいらっしゃる。

私が目にするのは、お店の軒先や個人宅の玄関先で育てられている蓮(ハス)、借景である。

そのような関わり方がメインなので、毎年目にしているというわけではないけれど、蓮(ハス)の香りがするお香や蓮を模ったガラス製のキャンドルホルダーなど、気付けば蓮(ハス)モチーフのものを身近なところに置いているからなのか、身近な植物だと感じていたりする。

蓮(ハス)の花に触れる機会が少ないことを疑問に思っていた頃、その原因が蓮(ハス)は早朝に咲き、正午過ぎには閉じてしまう花だからだと知った。

鑑賞可能な時間が限られている植物なので、触れる機会が極端に少ないのである。

しかし、この日のように太陽がてっぺんを過ぎた午後も花が閉じることなく咲いていることがある。

こうしたタイミングで目にできると、とても得したような気分になるのだけれど、正午を過ぎているにも関わらず咲いている蓮(ハス)の花があったときには、少し足を止めて眺めていただきたいのだ。

理由は、その蓮(ハス)が咲いていられるのは、その日が最後で、もういつ散っても不思議ではない状態だからである。

私が目にしている蓮(ハス)の多くは、最期のときがすぐそばまで迫ってきているからなのか、早朝に見るそれよりもひと際生命力に溢れており、見応えある咲きっぷりだ。

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そうそう、蓮(ハス)といえば、お寺の池に咲いていることが多いけれど、健康や長寿を願いながらいただく蓮酒なるものを振る舞ってくださるお寺があると聞く。

私は経験したことがないのだけれど、聞くところによれば、蓮の葉の中央に穴を開けた葉っぱの盃に注ぎ入れられるお神酒を、葉から伸びる茎の先からいただくというもので、

このお酒には、蓮(ハス)の葉と茎の香りが、ほんのりと移っており、この時季ならではのお酒の楽しみ方なのだとか。

もちろん、健康や長寿を願っていただく縁起物、縁起担ぎの有難いお酒なので、がぶがぶと飲むようなものではないけれど、暑い夏も、少し早起きして蓮(ハス)の花を愛でながら蓮酒をいただくなんて、なんと風流なことだろうかと思う。

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そばにあるものを上手に、丁寧に使うことは、暮らしを心豊かにする知恵でもあり、丁寧に暮らすということのヒントに繋がるようにも思う。

今すぐには叶えることができない蓮酒だけれど、いつの日かという夢を持ちつつ、今の私は蓮(ハス)の根っこであるレンコンを味わいながら健康を願ってみようかと思う。

蓮(ハス)やレンコンに触れる機会がありました折には、今回のお話の何かしらをちらりと思い出していただけましたら幸いです。

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