幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

揚げパンの記憶が行方不明。

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年に1、2回ほど足を運んでいたコッペパンの専門店が、いつの間にか閉店していた。

最後に購入したのは昨年末だったように思う。

食べきれないと思わせるほど大きなコッペパンだったけれど、そのふかふかの柔らかさと軽やかな食感が後を引き、あっという間にたいらげてしまう不思議なコッペパンだった。

中に挟むものはデザート系のものから軽食系のものまで幅広く用意されており、「○○抜き」と言った好みやアレルギーへの対応も柔軟で、小さな店内はいつも混雑している印象があった。

私が買いに行く時間帯は軽食系の具材はいつも完売しており、注文するのはデザート系のものばかりだったけれど、自宅で濃いめに入れた紅茶と共に味わうそれは、癒される味をしていた。

以前から決まっていたことなのか、コロナの影響なのかは分からないけれど、雨風でよれてしまった閉店の貼り紙が、残念だと思う気持ちを掻き立てた。

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コッペパンは、学校給食に出ることがある揚げパンの材料でもある。

学校給食の話題が上がると、それなりの確率で揚げパンが登場するけれど、私には揚げパンの記憶がない。

揚げパンは、当時の私の心には響かなかったのか、そもそも揚げパンは出ていたのか、出ていなかったのか、今となっては答えを確認する術もないのだけれど、私にとっての揚げパンは、「=学校給食」ではないのである。

だから、時折口にする揚げパンは、軽い口当たりのドーナツの変わり種といった位置づけだ。

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揚げパンは、コッペパンを油で揚げてお砂糖をまぶした菓子パンだけれど、このメニューが誕生したキッカケは、大量に残ってしまったコッペパンの有効活用だったそうだ。

今どきの子どもたちは、衛生面の観点から、学校を休んだ子の給食を自宅へ届けるといったことはしないと思うけれど、それが許されていた時代に生まれたのだ。

当時の材料や技術で作られたコッペパンは、時間が経つにつれてパンの水分が蒸発して硬くなるという性質があった。

このコッペパンを時間が経っても美味しく食べられるようにと、とある調理師の方が大量に残ったコッペパンを油で揚げ、更に美味しさをキープできるように砂糖をまぶしたという。

砂糖には水分を引き寄せる保水効果があるので、水分が蒸発して乾燥しやすいコッペパンにまぶすには最適な材料だったように思う。

このようなひと手間を加えると、給食の時間に食べる揚げパンも、学校を休んで自宅に届けられた揚げパンも、美味しく食べられるという算段だったようだ。

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このようなコッペパンの誕生秘話を見聞きしたときも、給食でコッペパンを食べた記憶は浮かぶのに揚げパンの記憶は浮かばず、

私の母校では揚げパンなるものは出ていなかったのではないだろうかと思いつつあるこの頃である。

あまり口にする機会はないけれど、あのコッペパン専門店で時々売られていた揚げパン、こんなことなら1度くらいお味見しておけばよかったと思う帰り道である。

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