早く眠らなくてはと思いつつも、手に取った本の続きを知りたくて夜更かしをした。
その間、瞼が何度も閉じかけていたのだけれど知りたいことにまで辿り着かず、ショボショボする目を擦りつつ読み続けた。
ふっと集中力が途切れ時計へ視線を向けると、もうすぐ日が昇ってくるぞという時間に差し掛かっており、読み進めることを止めて目を閉じることにした。
目は閉じたもものの脳内はスイッチオフのタイミングを逃してしまったのが、グルグルと動き続け、そう言えば、ドイツにはザントマン(サンドマン)という名の妖精がいるぞと、ドイツマニアの友人から聞いた話を思い出した。
なんでも、母親が、なかなか眠らない子どもを寝かしつける際に登場させる存在だという。
ザントマン(サンドマン)とは、優しそうな顔立ちをした小さなおじいさんで、背中には魔法の砂がたっぷりと入った砂袋を背負っているそうだ。
この魔法の砂は眠気を誘う砂だといい、おじいさんから魔法の砂を瞼にかけられると、目がショボショボしてきて眠くなるのだそう。
目のショボショボを無視して起きていると、今度は、おじいさんが瞼の上にドンッと腰を落とし、強引に瞼を閉じさせて眠りへ誘うという。
何だか可愛らしい妖精ではないかと思ったのだけれど、話のメインはここからであった。
魔防の砂とおじいさんの重みを受けても尚、眠らない子どもがいたときには、おじいさんも強硬手段に出るようで、
魔法の砂を子どもの目の中に直接放り込み、痛がっている隙をついて目玉を取り出し、自分の子どもたちが待っている家へ目玉を持ち帰るという。
持ち帰った目玉は、我が子へのお土産となり、おじいさんの子どもたちは、人間の子どもの目玉を美味しそうに食べると言う。
なかなかショッキングな展開だけれども、優しさのみでできているようなおじいさんの豹変っぷりに怯えた子どもたちは、夜更かししたい気持ちをあっさりと捨てて目を閉じるそうだ。
どこの国にも、このような寝かしつけの話はあるけれど、もしも私がこの話を子どもの頃に聞いたなら、ザントマン(サンドマン)のことが気になって気になって仕方がなく、安眠できないのではないだろうかと思う。
夢や眠りに関係する神話や妖精は各国、各地に古より多々語り継がれており、そのような話をハシゴしていくのも、興味深いものである。
今も幾つかの存在が頭に浮かんだけれど、そのお話は、またの機会に。
皆様も、目がショボショボしてきたときには無理をせず、ザントマン(サンドマン)が笑顔でいてくれるうちに眠って、1日の疲れを取り除いてくださいませ。
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