野菜室内の野菜が底をつき、気持ちが良いほどの空間ができた。
久しぶりに目にした状態をこれ幸いと思い、庫内の簡単なお掃除と消毒をした。
そして、曇りが取れて艶を取り戻した庫内をフレッシュな食材で満たすべく買い出しへ出た。
スーパーの出来り口に置かれた消毒液には数人の順番待ちができていたけれど、これも、すっかり見慣れた光景となった。
自前の消毒液も鞄には常備しているけれど、お店のご厚意に甘えてプシューッとひと吹きした。
店内に入るや否や、出迎えてくれたのは夏野菜の山である。
年中購入できるものもあるけれど、旬を迎えた夏野菜は、やはりこの時季に輝きを増すように思う。
定番野菜をカゴへ入れていると、視界の端にヤングコーンが積み上げられていた。
「旬」というよりは、既に「名残り」に入ったようにも思うけれど、私が見るフレッシュなヤングコーンは、これが今年初である。
ヤングコーンとは、ベビーコーンとも呼ばれ、トウモロコシの実が成長し始まる前に摘み採った小さなトウモロコシのことだ。
トウモロコシは、一本に数本の実がなるそうなのだけれど、全てを成長させてしまうと栄養が分散し、お馴染みの立派なトウモロコシに育たないため、成長し始める前に間引くという。
瑞々しくて程よい食感とほんのり感じる甘味が魅力で、メニューの名脇役といったところだけれど、、水煮缶が主流という印象が強い。
しかし、運がよければトウモロコシが出回り始める前の4月頃から7月、8月上旬辺りまでの期間中は、皮に覆われた状態のフレッシュヤングコーンに出会うことができるのだ。
水煮缶も美味しいけれど、やはりフレッシュなものはヤングコーンの美味しさは夏ならでは。
旬の味覚、季節の楽しみとしてワンシーズに1度くらいは味わいたいものである。
そうは言っても、以前の私は、フレッシュなヤングコーンを皮つきのままで買ってしまうと、皮やヒゲなどの廃棄部分が多くゴミが増えてしまうということを理由に購入を躊躇っていたのだけれど、とある飲食店で、ヤングコーンのヒゲを使った天ぷらを口にし、躊躇いが吹っ飛んだのだ。
その時はヤングコーンの天ぷらをお願いしたのだけれど、出てきたのはヤングコーンの天ぷらと、ヒゲをフワフワにひとまとめにして揚げた、かき揚げのようなものだった。
廃棄部分だと思っていた髭が、甘くパリパリとした食感と相まって、2つ、3つと欲してしまうような味をしていた。
また、皮ごとグリルして外側の皮のみを取り外し、ヒゲごとヤングコーンを味わうのもおすすめだ。
何も付けなくても十分に美味しいけれど、少量のお塩やお醤油などを落とすのもアリ。
そうそう、ヒゲの天ぷらに初めて出会ったときに、このような話も耳にした。
トウモロコシの実を覆っている、私たちがヒゲと呼んでいるあれは、トウモロコシの粒の数とほぼ同数だという話だ。
さすがに、双方を数えることはできないけれど、そのような話題にも驚きながら味わったヒゲ天デビューとなった。
たくさん食べたくなる味だけれど、時季も数も限られているフレッシュベビーコーンのヒゲこそ、今だけの贅沢な楽しみである。
ご興味ありました折には、フレッシュベビーコーンのヒゲもご堪能くださいませ。
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