いくつかの調味料が順に切れ、代用にも限界がきたため、重い腰を上げて買い出しへ出かけた。
久しぶりの場だったこともあり、入店するや否や目移りまっしぐらといった逸る気持ちを落ち着かせて必要なものをカゴに入れた。
買い忘れはないかカゴの中身を確認しようと思ったけれど、次から次に視界に飛び込んでくる商品に負け、「多分、大丈夫」と気になる商品へ視線を移した。
見回っていると、ガランと空いた陳列棚があった。
今年に入ってから度々目にする光景であるため、妙な慣れなのか、今度は何が姿を消したのだろうかと興味で覗き込んだ。
すると、ゼリーの素の類であった。
トイレットペーパーや消毒関係のもの、ホットケーキミックス粉などが店頭から消え、最近ではうがい薬やごみ袋などが姿を消しているようだけれど、ゼリーの素も度々、陳列棚から姿を消しているのだそうだ。
手に入りにくいものを貴重なものだと感じてしまう私たちの思考パターンがこのような状況を作っているのだなと思いながらレジへ向かった。
向かう途中に目に入ったのは仙草(せんそう)ゼリーだった。
久しぶりに目にした仙草(せんそう)ゼリーだったこともあり、買い物ついでに一ついただいて帰ることにした。
仙草(せんそう)ゼリーは、中国や台湾などで食されているスイーツのひとつなのだけれど、ゼラチンなどを使っていない天然ゼリーである。
仙草(せんそう)とは漢方薬などにも使われるシソ科の植物で、解毒や解熱などに働いてくれると言われており、熱中症予防や美肌効果、喉の傷みの緩和など体の内側から体を整えたいときに良いという。
調理方法は、乾燥させた仙草(せんそう)の茎を煮込んで濾すと、仙草(せんそう)ゼリーの特徴でもある真黒な液体ができ、これを冷やすとぷるぷるのゼリーに仕上がるようなのだけれど、お店で食べる以外にも、既にゼリーとして出来上がっているものやゼリーの素のように粉末状のものなど、手軽に入手できるスイーツである。
仙草(せんそう)ゼリーのみを食べると、薬草の苦みや渋みがほんのりとあるので、飲食店などでは黒密やクリーム、甘いシロップなどと一緒に出されることが多いけれど、市販されているものは、この苦みや渋みが抑えられた、食べやすいものが多いように思う。
仙草(せんそう)が持つ効果、効能の特徴から、この時季の残暑厳しい折には、体の熱を上手に取り除きながら体調やお肌を整えることができる仙草(せんそう)ゼリーは嬉しい一品である。
私が初めて口にしたのは随分と遠い日なのだけれど、当時は正直なところ、美味しいとは言い難い印象を持ったゼリーだった。
しかし、かき氷のトッピングとして食べているうちに、むっちりとした食感や甘いトッピングとほのかな苦みの組み合わせがクセになり、食べる機会があれば時折ではあるけれど手を伸ばすようになったスイーツである。
好みがハッキリと分かれるゼリーであるように思うので、是非一度ご賞味あれとは言い難いのだけれど、物は試し!経験してみたい!という好奇心が湧いた方は、夏の疲れや溜め込んだ毒素を取り除くこともできるので、話のネタにいかがでしょう。
もうしばらく残暑厳しい日々が続きそうですけれど、色々なことを楽しみながら過ごしたいものでございます。
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