幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

エイリアンのお味はいかに!?

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普段は、ほとんど連絡を取ることもないのだけれど、

4、5年に一度ほどだろうか、旅に行く同世代のメンバーがいる。

頻繁に近況報告をしあう程べったりではないのだけれど、

企画が持ち上がればスッと集合できる間柄に、

私自身、思っている以上に助けられているように思う。

久しぶりだけれども近況報告がメインになることはなく、

景色や、お料理、その他、目の前のものごとを共有して盛り上がる辺りも、

そのメンバーらしくて気に入っている。

今年は、皆のテンションとタイミングがピタリと合ったのだろう。

旅へ出ることとなった。

その時、メンバーの一人が、夜の部屋の飲みのお供にと持ってきてくれていた珍味、

それが本日のお話の主役だ。

 

その主役の名は「わらずぼ」。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれないのだけれど、

私は、この「わらずぼ」なるものを初めて目にしたのだ。

その姿が、「えっ!?」と仰け反ってしまうような姿をしており、

これを食べるの?と軽くフリーズした私。

恐る恐るパッケージの裏に視線を落とすと「有明海のエイリアン」という文字と、

「未知の香ばしさを存分に楽しめる」という説明書きに、

久しぶりに得も言われぬ気持ちでいっぱいになった。

 

ご存知ないと言う方の為に、「わらすぼ」がどのようなものなのか

画像でご紹介させていただこうかと思ったのだけれども、

衝撃的な映像になりすぎてもいけないので、ここでは自粛。

 「わらすぼ」はお魚なのですが、

スズキ目ハゼ科に属するハゼの一種で、干潟に生息しているのだそう。

干潟であればどこにでも生息しているのかと思いきや、

有明海にのみ存在している非常に珍しいお魚なのだとか。

ウナギのような細長いボディーは青みがかっており、

その表面の奥にある内臓や血管は透けている。

眼はほとんど見えないくらい退化し、

鋭くて細長い歯は飛び出すように生えており、

この時点で「エイリアン」と呼ばれていることにも頷くことができる。

しかし、その生きた「わらすぼ」よりも、干物にされ、味付け加工を施された「わらずぼ」は

エイリアンと呼ぶべきか、ミイラと呼ぶべきか、

「えっ!?」と仰け反ってしまうような姿だったのだ。

 

美味しいとおすすめされて用意してくれたものだとは言え、躊躇してしまう私たち。

だけれども、こういうものは、こういうタイミングでもなければ口にする機会はない。

そう思ってしまう私は、恐る恐る封を開けて、

味付けされて、かっちかちに水分を飛ばされたそれを真ん中からパキッと割り、

ひと口だけ口に放り込んだ。

残りもひと口サイズに割ってメンバーの口に、半強制的に放り込んだ。

硬くて水分が飛ばされており食べやすいとは言い難いけれど、味は悪くない。

他の食べ物に例えるならば、

大き目の煮干しを甘辛いタレで佃煮にしたものを乾燥させたような、

日本人が好きな味をしていた。

私が出会った「わらすぼ」は味付け済みのものだったけれど、

味付けなしの干物状のものもあり、

こちらは、お酒を振り、軽く炙るなどして熱を加え、

柚子胡椒や七味マヨネーズ、醤油マヨネーズなどを付けて食べるとよいのだそう。

この言葉を使ってよいものか最後まで躊躇したのだけれど、

グロテスクな「わらすぼ」のお顔は、ひれ酒の要領で「わらすぼ酒」にすると、

味わい深いお酒を楽しめるのだとか。

お酒の中からプカリ顔を出す「わらすぼ」なかなかシュールではないか、と思う。

お魚嫌いや佃煮嫌いでなければ、お味に関しては心配ご無用。

もしも、「有明海のエイリアン」に遭遇した際には、

勇気を振り絞って未知なる香ばしさを味わってみてはいかがでしょうか。

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