アサリが冷蔵庫の中で待機していたからなのか、
無性に、ボンゴレが食べたい、そう思いキッチンに立った。
随分と前に調理師免許を持っているという知人に、
お湯を使った砂抜きを教えていただいたのだけれども、
これを知ってから私が貝類の砂抜きにかける時間は10分から15分程度となり、
無性にボンゴレが食べたい、無性にアサリの酒蒸しが食べたい、そう思ったときに、
ストレスフリーでキッチンに立てるようになったように思う。
今回は、そのようなお話を少し。
砂抜きが済んでいるアサリを購入することもできるけれど、
要砂抜きと注意書きされたものが多いため、
お湯での砂抜きを知る前の私は、ボウルに水と塩を入れ、アサリを投入し、
5時間から6時間ほど放置して砂を抜いていた。
この、調理に取り掛かることができるまでの時間をストレスに感じることもあったし、
うっかりボウルに被せものをすることを忘れ、
貝たちが吐き出した塩水が乾いてキッチンが塩まみれになったこともあった。
貝そのものは簡単に調理できる食材なのだけれど、砂抜きを非常に面倒に感じていたのだ。
食事会の席でそのような話をすると、知人は、お湯でパッと砂抜きしたら?と言った。
つい反射的に素人目線で、お湯で砂抜きをしたら、
身が硬くなったり、縮んだり、旨味成分もお湯に溶け出してしまうのでは?と思ったけれど、
お湯と言っても、その温度は50度前後で良く、貝が茹で上がってしまうほどの温度ではないことから、
私が抱いたような心配は無用な上に、お湯で砂抜きをした方が旨み成分が増え、
食感までもがプリッとなり美味しいのだという。
そう言われて試さないのは勿体ないような気がして、早速、前のめりで手順を聞いた。
【1】ボウルに50度前後のお湯を用意する。
私は温度設定ができるようなポットを持っておらず、調理用の温度計もなかったのだけれども、知人曰く、しっかりと沸騰したお湯に同じ量の水を入れると、大体50度ほどになるので温度計などは必要ないのだという。
【2】ボウルにアサリを入れて軽く貝をこすり合わせて洗い5分ほど置く。お湯を取り換えたら更に15分~20分ほどお湯に浸したまま放置する。
こうすると貝が少し開き砂や不純物を吐き出しはじめるため、ボウルがあっという間に濁るのだ。
貝によっては、砂や不純物をたっぷりとため込んでいることもあるので、
そのような時には、今度は冷水を使って砂や不純物を吐かせると良いという。
これは、水の温度が急激に変わることで貝がショックを受け、
身を守るために砂などを吐き出して水分を吸収しようとする性質を利用した砂抜き法なのだそう。
出荷される際に軽く砂抜きをしてくださっているからなのか、
私は冷水に切り替えるほど砂をため込んだ貝にあたったことはなく、
10分から15分ほどで砂抜きを完了させられている。
ただ、このお湯を使った砂抜きには注意点がある。
お湯の温度が42~43度より下がってしまうと雑菌が繁殖し、
60度を超えてしまうと貝が茹で上がってしまうため、
50度前後のお湯を準備したら、すぐに作業に取り掛かることがポイントだ。
調理用の温度計を常備していない私は菌が繁殖することだけは避けたいため、
しっかりと沸騰したお湯に注ぐ水の量は、沸騰したお湯の量よりも少し少なめにし、
温度が下がりすぎないようにしつつ砂抜きをしている。
水で砂抜きをした時も、時々、砂を吐ききっていない貝にあたることがあるけれど、
その辺りは、相手が生き物ということもあり、お湯での砂抜き時も同じ。
そして、お湯で砂抜きをしたアサリの食感は、びっくりするほど良い!というわけではないけれど、
時間をかけて砂抜きをしたときのアサリよりは、ほんの少しプリッと感が増すような気はしている。
うっかり砂抜きするのを忘れてしまっても10分から15分で砂抜きができるのであれば、
調理中に作業できるかと思います。
どこに、時間をかけるのか、かけないのか。かけたいのか、かけたくないのか。
これは、人それぞれではありますが、
時短砂抜きにご興味ある方は、一度、お試ししてみてはいかがでしょうか。
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