スケジュールが変わり、ポッと生まれた夜時間。
のんびりと過ごす時間も良いのだけれど、最近の私は普段よりも少しだけアグレッシブである。
きっと今はまだ、夏の暑さに照らされて、しんなりとしょげ果てた青菜のようになる前だからだろうと思う。
キッチン内を無駄に右往左往しながら、数日前に興味本位で買ってしまった新生姜でガリ作りをすることにした。
普段、ガリを作ることはしないのだけれど、ただひと晩漬け込むだけで淡いピンク色に染まると聞いて以来、一度作ってみようと思っており数年越しの今年、人生初のガリ作りである。
レシピは、人生初のガリ作りなどと言うには大袈裟すぎるほどシンプルで、用意するのは、新生姜とミョウガ、お酢に、きび砂糖、塩少々のみ。
工程も、新生姜とミョウガを無心にスライスして煮沸消毒した容器に入れ、その上から適当量のお酢、きび砂糖、塩少々を順に投入し、菜箸でくるくると掻き混ぜ、冷蔵庫に入れたら完了である。
小難しいことが一切不要なレシピゆえ、新生姜を目にする時期には頭の片隅でちらちらとしていたけれど、ようやく。
翌朝、ひと晩漬け込んだそれを取り出すと、お酢は淡いピンク色に変わっており、ショウガもミョウガも淡いピンク色に染まっていた。
何らかの化学反応が起きたようだけれど、今回はその仕組みを深堀することは止めて、淡いピンク色を楽しんだ。
そして、もちろん、朝っぱらガリ食べるの!?と突っ込む間もない早さで容器を開けて、出来立てのガリをひと口。
お店のよりも美味しい、かも。
数割増しの褒め言葉にプロへの敬意を込めた「かも」を添え、人生初のガリ作りは無事に幕を下ろした。
日々の暮らしに振りかけるスパイスは、特別なことでなくても十分に、その役割を果たしてくれるように思う。
とは言うものの、大人は毎日新しいことにトライすることが難しいお年頃でもある。
だからなのだろうか。
つい、出来ないことや、出来なかったことに意識や目を向けてしまいがちだけれど、実は出来ることや出来たことの方が多い日々を送っていたりする。
これは、成長も前進も努力もしなくて良いというような意味ではなく、
出来ることが今日も出来たことも、新しくできるようになったことと同じくらい、褒めるに値することだと思うのだ。
大人だって、もっとたくさん褒められていいと思うし、褒めていいと思う朝である。
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