気に入って使用している調味料の幾つかが切れたままになっていた。
無いならば無いなりに何とでもなることは確認済みなのだけれど、お客様をお招きする予定もちらりほらりと入り始めたことをきっかけに重い腰を上げて調達に向かった。
店内には様々な調味料や食品が所狭しと陳列してあり、こちらの購買意欲を分かり易く刺激してくるのだけれど、まずは本来の目的を果たすべく、切れっぱなしだった調味料をカゴに入れた。
店内を見回っていると、大量のブラックタピオカが積んであった。
お店の方の話によると、タピオカドリンクは自宅で手軽に作ることができるし、その方がカロリー調節もしやすいと気が付いた方々が、茹でる前の状態のブラックタピオカを買いにくるのだとか。
私の周りにも、タピオカドリンクを口にしていたら、いつの間にか体重が増えていて驚いたと話していた知人がいる。
タピオカは、ぷるぷにっとした食感重視のヘルシーな食材というイメージがあるけれど、原材料をご存知の方はどれくらいいるのだろうか。
そう言う私も今年の夏頃に、ご年配の男性たちが「若者が飲んでるタピオカって何?」などと話しているのを耳にして調べたばかりなのだけれど、タピオカの原料となる食材は、じゃが芋の次くらいに消費量が多いお芋なのだそう。
そう知って、タピオカドリンクは美味しいけれど、想像以上に腹持ちが良いことが腑に落ちたのである。
このお芋は暑い地域で栽培され、名をキャッサバと言い、日本では鹿児島県の奄美群島にある徳之島で栽培されているという。
キャッサバ栽培の歴史を遡ると、戦争で国外へ出征していた方々が現地から持ち帰ったもので、戦後、主食となる食べ物が不足していた島の方々の食生活を支えたものなのだとか。
しかし、当時から栽培し続けられていたわけではなく一度は日本から消えてしまったキャッサバを徳之島の方々が復活させて今に至っているそうだ。
これから先、温暖化がどれほど進んでしまうのか私たちの暮らしぶりにかかっているのだけれど、専門家の中には、仮に温暖化が進んだと仮定したとき、国内でお米などの主食が栽培できなくなった場合の代替食材のひとつとしても注目されるのではないだろうかと見る方々も居るという。
私も例に漏れず、ぷるぷにっとしたタピオカに対して勝手にヘルシーなイメージを抱いていたのだけれど、主食になるほどの食材だということや、お米の代替品としての可能性を秘めていることなどを知り、少しだけタピオカのイメージが変わったこの頃である。
と同時に、若者の動向に反応してタピオカ談義をしていたご年配男性たちが微笑ましかったことを思い出したりもして。
タピオカを口にする機会がありました際には、今回の何かしらをちらりと思い出していただけましたら幸いです。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/